Beranda / ファンタジー / 聖衣の召喚魔法剣士 / 1   召喚士は絶滅危惧種?

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1   召喚士は絶滅危惧種?

Penulis: KAZUDONA
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-22 15:35:37

 ログアウトできない? 不安と焦りが変な汗となって背筋を伝う。ステータスさえ見ることができない。お腹も減って来た。どうしたものかと腕を組んで考える。

「あー、考え事してるところ悪いんだが……」

 戦いが終わったので、騎士団のライアンが話しかけて来た。まるで本当の人間であるかのような反応。これも違和感がある。

「お嬢ちゃんは召喚士なのか? しかも剣技に体術までこなせるとはな。召喚士は今や絶滅危惧種だというのに。その若さでそれ程の使い手がいるとは、世界は広いな。しかも使い魔をその身に纏うなど聞いたこともない」

「絶滅危惧種? どういうことだ?」

 と返答をしたところで、和士は自分の声が少々勝気な雰囲気の少女然としたものであることに気付き、今の自分がサブキャラの女性キャラだということを自覚させられた。

 しまった、何でよりによってこんな状況に陥っているときに女性の姿なのだろうか。こんな目に合うのならメインの男性キャラでログインするべきだったと思ったが、最早後の祭である。まさかこのような事態になるなど誰が予想できただろうか。

 もしかしてこのままログアウトできなければずっと女性のまま過ごさなければいけないのか? またしても嫌な汗が流れ落ちる。そして汗が流れる感触やエフェクトなどなかったことにも今更ながら気付かされる。

「あ、ああ。召喚術は習得するのがかなり難しい。ここ数十年間はまともに召喚術を扱う人間など見たことがないからな」

「? ここ数十年??? 今の年代を教えてくれ!」

「? アルカディア歴2225年だ。そんなことも知らないのか?」

 アルカディア歴は現実で言うところの西暦に当たる。現実と齟齬が生まれない様に西暦と同じに設定してある。今は西暦の2125年のはず、バグでなければ100年後の未来にログインしてしまっていることになる。和士は頭がクラクラしてきた。

 どうなっているんだ? ログアウトできない状況、100年経っているゲーム内世界。現状理解が追い付いていかない。頼れるのは目の前の騎士ライアン達くらいである。

「俺がインしたときは2125年のはず。はっ、ならエデン王国は? カシューはどうしているんだ?」

 カシューは和士と一緒にエデン王国を創ったときの国王をやっていたフレンドである。100年経っていてもまだ彼が国王をやっているのだろうか?

「カシュー王を呼び捨てとは……、ひょっとして旧知の仲なのか? 勿論ご存命だ。我らは今回の悪魔出現について報告せねばならん。もし良かったらお嬢ちゃんも一緒に王都まで来るか? それほどの使い手なら歓迎されるだろうしな。どうする?」

 ここで手を拱いていても仕方ない。和士は折角なのでそのお誘いに乗ることにした。

「そうだな、そうさせて貰うよ。宜しく頼む」

「了解だ、ところでお嬢ちゃんの名前は何というんだ? それほどの使い手なら名が知れ渡っていても不思議じゃないんだが……」

「ああ、俺の名前はカー、じゃなかったカリナだ。宜しくライアン」

 差し伸ばされた手を握って握手をする。やはり筋骨隆々な男のごつい手だ。それに比べて今の和士のアバターはなんとも頼りない見た目をしている。鏡の様に磨かれたライアンの大盾に映る自分をしげしげと見つめてみる。

 赤い髪の毛は毛先が金髪で腰くらいの長さがある。そして左右に別れたツインテールの様なくせ毛。頭のてっぺんからはくるりと巻かれたアホ毛が生えている。ぱっと見はツーサイドアップだが、根元に髪留めなどの装飾品は身に着けていない。自分なりに拘った結果だ。

 歳の頃は十代前半くらいのまだ幼く見える外見。背はそれほど高くも低くもないが、今目の前にいる騎士団連中に比べるとかなり小柄で華奢だ。胸はまあそこまで大きくはないが、貧乳という程でもない。程よい大きさと形だ。大き過ぎると戦闘の邪魔になりそうだったからである。

 瞳は大きく美しい碧眼。目つきは少々きつめだが、なよっとして見えるよりはマシだと思っている。まごうことなき美少女。そのせいで色々と絡まれたため、一貫して俺口調は止めない。だが明らかに自らの性癖を露出しているため、偶にその姿に気まずさを覚えることもある。

「あー、身だしなみに気を配ってるところ悪いが、そろそろ出発する。誰か馬の背に乗せてやってくれるか?」

 年頃の若い女性(中身は青年男性)を乗せるとなって、若い騎士団は色めき立つが、カリナは首を振って断った。

「我が声に応えよ、ユニコーン」

 カリナの展開したヴェールのような魔法陣から額から立派な鋭い角を生やした一角獣がゆっくりと歩み出て来た。そしてカリナの姿を見ると近づいて来て頬ずりをした。

「お前の背に乗せてもらえるか? 近くの王国まで彼らに着いて行ってくれ」

 ユニコーンは周囲にむさい男共がいることに警戒していたが、カリナが一撫ですると落ち着いた。それからその背に飛び乗り跨った。

「よし、では行くか。全軍エデン王国へと帰還する!」

 ライアンの合図に全員が返事をすると、一行は数キロ先のエデン王国の王都へと走り始めた。その後ろをカリナが乗ったユニコーンが追いかける。

 ユニコーンがその背に乗せるのは清らかな乙女だけである。カリナは騎士団の者達に自分がそういう存在なのだと無意識のうちに教えてしまったのである。

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